本研究は、世界のシティズンシップ教育における相違や差異に着目し、その要因として地域、文化、民族、人種、宗教、言語、歴史を仮定し、これらの観点からシティズンシップ教育を解明し、その相違・差異を明らかにするとともに、アジア的シティズンシップ教育とヨーロッパ的シティズンシップ教育の2つの類型化を図ることを目的にしている。 第3年次、最終年度として次の6点を主な成果として挙げた。 1 世界のシティズンシップ教育の多様な事例を、2009年6月25-27日に、香港教育学院において開催されたCitizEDの国際会議で、収集した。 2 上記収集したものを、ヨーロッパ的シティズンシップ教育とアジア的シティズンシップ教育の2系列に分けて、それぞれの要因を分析した。 3 2009年9月15日、英国、ビショップ・グロステスト・ユニバーシティ・カレッジの教育学の教授、マイク・コール氏を迎え、「批判的人種理論と教育」と題した講演会を開催し、ヨーロッパ的、とくに英国のシティズンシップ教育の特質を議論した。 4 10月26-31日に中国、抗州師範大学において開催された社会科・シティズンシップ教育国際会議に出席し、発表するとともに、米国、日本、中国、台湾、香港、シンガポールの各地区の社会科とシティズンシップ教育の資料を収集し、特質を議論した。 5 上記の議論をふまえ、これまでの研究成果をまとめ、報告書を作成した。 6 その結果、シティズンシップ教育に関する、アジア的シティズンシップ教育と、ヨーロッパ的シティズンシップという2つの類型を成立させることはできるが、下位の類型も必要であるという結論を得た。
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