研究概要 |
本研究は、広島の被爆生存者と米国のパール・ハーバー攻撃体験生存者を対象として、その後の人生を経た現在の生活における影響、特に心的外傷を含めたライフストーリーを収集し、世代や文化を超え、思春期にある小中学生に向けて'暴力の記憶'の「最良」の見本をメディア教材として提供することを目的としている。今年度は、被爆者団体の協力を得てすでにインタビューが終了している東京、および広島在住の28名の被爆生存者からのインタビューデータを日本語にテキスト化するとともに、そのうち5名分についてはさらに英語に翻訳を行った。また、フロリダ州在住の海外共同研究者(Patricia Liehr,Florida Atlantic University看護学部教授)が、ホノルルで行われたPearl Harbor Survivors Association(PHSA)主催の記念式典、および、フロリダ州においてパール・ハーバー体験生存者24名にインタビューを実施し、その英文テキスト化を行った。2007年11月には米国においてCDメディア制作のための研究協力者候補に会い、今後の計画を討論した。また、今後の分析のため、米国において計3名、日本において計3名の日米研究チームの編成を行い、全員の合意を得ることができた。Pittsburghで行われた在郷軍人会の式典において当研究の紹介を行う機会を得たので、概要をプレゼンテーションしたところ、好意的な反応を得、終了後には多数の質問を受けた。2008年2月、米国からLiehr教授を含め2名が来日し、5名の日米研究チームが一堂に会して分析のための仮説、分析方法に関する討論を行った。その後、インターネット通信を使って数度にわたる全員討論を行い、今後の方向を確認した。次年度は、春期に日米5名ずつのデータについて予備的分析を終え、11月の米国老年学会での発表を目指している。
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