自閉症児者に多く見られるサヴァン症候群、並びに行動問題について、今年度は以下のような事例研究を中心に行った。 1)粘土造形にサヴァン・スキルを示す広汎性発達障害児に対して、昨年度に引き続きデッサン・スキルを指導した事例では、本児の苦手とする眼球運動のトレーニングを行うことによってデッサン・スキルが促進されることを明らかにした。 2)3歳から19歳まで激しい行動障害を示した自閉症青年の事例研究では、特異な視点からの絵画描写に優れた能力を有しているにもかかわらず、行動障害が激しい期間はそれらのスキルが発揮されず、行動障害が軽減した時期に再び出現し、そのスキルは余暇運動に活かされていることが明らかになった。 3)施設に入所する自閉症者で行動問題を示す人に対して、サヴァン・スキルは見られなくとも個人内で優れた能力を活用した支援方法を実施し、その有効性を検討した。 4)探索的な事例研究として、2歳台で自閉症を疑われ、その後自閉症状が軽減しつつある女児の事例を対象とした。本事例については、父親他、類似の特異的な発達経過を示した親族が複数おり、それらの関連性に関するデータを収集した。
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