自閉症児者に多く見られるサヴァン症候群と行動問題について、今年度は以下のような研究を行い、成果を得た。 1.前年度にデータを収集した、3歳から19歳まで激しい行動障害を示した自閉症青年の事例について、特異な視点からの絵画描写に関するデータの整理を行い、行動障害の軽減へのアプローチとともに、優れた能力が発揮できる機会の設定や促進のアプローチを行うことの重要性が示唆された。 2.前年度に探索的な事例としてデータを収集した、2歳台で自閉症を疑われ、その後自閉症状が軽減しつつある女児の事例に関するデータの整理を行い、家族・親族の特徴の検討から、特異な発達を示す場合には家系的要因が関係する事例もあることが示唆された。 3.サヴァンスキルや優れた能力、好みの活動等を生かして行動問題の予防・改善を図るためにはそれらのスキル・能力をアセスメントする機会が必要であることが示唆され、その1つの方法論として選択肢の提示を含む指導法について、日本と中国の養護学校を対象に行った調査研究をまとめ、家庭や地域と連携した実践の必要性が示唆された。 4.日本特殊教育学会の自主シンポジウムにおいて、優れた能力や好みの活用や専門家・地域資源と連携した支援の方法論を含め、発達障害のある人の行動障害に対する現時点での行動的アプローチの成果を整理するとともに課題をまとめた。
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