研究概要 |
本研究課題では3つの確定特異点をもつ2階フックス型常微分方程式(ホインの微分方程式)の接続問題と大域的な解の存在に関する研究を,超弦理論の双対性で重要な役割を果たす佐々木・アインシュタイン多様体上のラプラシアンの固有関数を調べることにより進展させることを目指している.初年度に当たる19年度は研究代表者と分担者間の共同研究へ向けた取り組みを開始する予定であった.しかし定期的な研究交流を行ったものの,まだ共同研究の方向性を見いだせていないのが現状である. 弦理論・ゲージ理論対応によれば佐々木・アインシュタイン多様体上のラプラシアンの固有関数に対応するものは4次元超対称ゲージ理論のBPS状態であり,この対応に基づいてラプラシアンの固有関数の存在が期待され,それがホイン関数を与える.今年度の研究は弦理論側に相当する佐々木・アインシュタイン多様体の幾何学に関するものではなく,むしろ対応する4次元超対称ゲージ理論のBPS状態に関するものが中心であった.特に研究代表者の菅野は4次元超対称ゲージ理論に関するこれまでの研究成果を発展させNekrasovの分配関数をBPS状態の数え上げの母関数の視点からその構造を調べ,位相的頂点(topological vertex)の一般化の試みを行った.これは本研究課題に深く関わる弦理論・ゲージ理論対応のより深い理解につながるものである.
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