この研究により得られた結果は以下の通り。 可積分系的な保存量に着目するアプローチにより離散的な平均曲率一定曲面が定義できた。これまでは、ambient空間によっては、そのような曲面は考えられなかったが、保存量を用いることで可能になった。この定義による、ambient空間はユークリッド空間でも球面空間でも双曲空間でも良い。そして、平均曲率Hは任意な実数の定数にとれる。 この定義を採用してから、以下の結果を得た: 1.離散的な平均曲率一定曲面のクラスより広い、多項式の保存量を持つ曲面のクラス(special surfaces)を定義した。 2.離散的なspecial surfaceの法線ベクトルを定義した。 3.離散的な平均曲率が一定の回転面の具体的な構成の仕方を発見した。 4.離散的なspecial surfaceのDarboux変換はまたspecial surfaceになる。そして、Darboux変換の方で保存量の多項式のorderは高々1しか増えない。 5.離散的な場合にもBianci permutability定理があると証明した。 6.法線ベクトルを持つ離散的なisothermic surfaceがあるとき、その法線ベクトルは自然な条件を持つ場合にorderが1か2の保存量が存在すると証明した。したがって、special surfaceになる。Order1の場合に離散的な平均曲率一定曲面になる。 Ambient空間がpositive definiteではない場合にも、離散的な平均曲率一定曲面の定義と結果を調べた。特に、ambient空間がミンコーフスキ空間とド・ジッター空間の場合を調べた。これは研究中である。 以上の結果は学術雑誌に投稿中である。
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