今年度の前半に、Tim Hoffmann氏と佐々木武氏と吉田正章氏の協力を得て、双曲空間内の離散的な平坦曲面の定義を与えた。その定義に関して、事前に定義された双曲空間内の離散的な平均曲率1を持つ曲面との正しい関係があることを確認した。そのために、Galvez氏とMartinez氏とMilan氏の変分を用いた。その離散的な平坦曲面のcausticの定義も与えて、そのcausticの性質を調べた。 今年度の後半に、Fran Burstall氏とUdo Hertrich-Jeromin氏の協力を得て、リー球面幾何学のアプローで双曲空間内の平坦曲面を調べるために、曲面のクラスをOmega曲面のすべてに広げたほうが良いことがわかってきた。そうすると、接続の考え方が使え、またOmega曲面の集合の中から平坦曲面を選ぶために0位の保存量を用いた判定条件が得られた。平均曲率1の曲面を選ぶためにも、linear Weingarten surfaces of Bryant typeを選ぶためにも、それぞれの対応している保存量による判定条件があることを証明した。さらに、接続と保存量の考え方を用いて、その曲面を離散化する方法が明確になった。その離散化が前に定義された離散的な平均曲率1曲面と整合性があるかを確かめた。 また、神戸大学の院生の木ノ下祐輔氏の協力を得て、3次元Minkowski空間内の離散的な空間的平均曲率一定曲面の定義を見つけた。そして、ユークリッド空間内の離散的な平均曲率一定曲面について、1位の保存量によって定義されている離散的なガウス写像が、一般的には、離散的な調和写像にならないことを証明した。
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