研究概要 |
研究実施計画に基づいて,計算ホモロジーを用いた二次元流れ場の位相構造解析アルゴリズムの検討を行った.まずは,与えられた簡単な流れ場(定常流)について計算ホモロジーを用いた特徴付けを行った.流れの淀み点に対応する双曲型不動点の検出は可能になったが,本アルゴリズムの最大の困難である楕円型の不動点の検出について,時間方向を複素化して対応する「時間複素化法」を実装して対応しているが,正確さという面で現在のところ期待した結果にまでは至っていない.原因はいくつか考えられるが,格子点データの階層構造の見直しなどが必要であると思われる. ・また,5月にSIAMの研究集会「SIAM Conference on Application of Dynamics」に参加し,現在の研究内容について発表するとともに,計算ホモロジーに関する国内外の研究者との研究打ち合わせや,関連する話題の専門知識の提供を受けた.特に計算ホモロジーの応用に関するセッションでは本研究計画にも役立つところが多かった. これに合わせて,流れ場解析のターゲットとなる乱流の理論や数値計算に関する研究を行った.特に二次元の壁乱流の数値計算の実行を推進し,壁近傍で発生する乱れた流れ場の統計的研究が進んでいる.一方で,乱流理論の確率過程論に基づく定式化について研究協力者とともに,数値計算から得られる流れ場からどのような統計性質が導出され,これが計算ホモロジーを使って検出される流れ場の位相的性質とどのように関連するかについて検討を加えた.
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