研究課題
本研究計画の目的の一つであった1次元ランダム・シュレーディンガー作用素の固有値に関する極限定理を示すことができ、それをまとめて雑誌に投稿し掲載が許可された。この結果はすでに別の研究者によって発表されていた結果の証明の誤りを指摘し、修正したもので、修正には証明の道筋を根本的に考え直す必要があった。各固有値の結合分布についてはまだ結果を得ておらず将来の問題として残っている。また固有値の間隔の極限状態についても、ランダム・ポテンシャルが減少する場合(これは絶対連続スペクトルを持つ場合であるが)中心極限定理を示すことができた。点スペクトルを持つ場合には異なる極限分布を予想しているが未解決である。この問題については仙台での国際研究集会において研究者と交流した結果、さらに発展させる可能性が出てきており、共同で研究を進める予定である。本計画に深く関連する問題として代表的な可積分系であるKdV方程式系の力学系的視点からの研究についても一定のめどを得ることができた。特にランダム・シュレーディンガー作用素が純粋に絶対連続なスペクトルを持つ場合にはポテンシャルが概周期的になることを予想しているが、この力学系的な視点により解決に向けて大きな一歩を踏むことができたと考えている。これについては来年3月に1ヶ月スペインの数学研究所で実施される研究プログラムに参加し、関連研究者と研究交流を持ち研究を推し進める予定である。
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Osaka Journal of Mathematics (未定,accepted)
Finance and Stochastics (未定,accepted)
http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~kotani/kennkyuu2009.htm