研究概要 |
大規模な科学技術計算で必要となる膨大なデータ処理や大型の探索問題に対処するための並列分散処理方式に基づく算法の開発及び支援ツールの作成に関する研究を行った.特に,物理学で難問とされている量子色力学の格子ゲージ計算(QCD)計算を支援するための新しい算法の開発とソルバーの実装は,現時点では並列計算の処理なくしては行えない. また、QCD問題で現れる数十万元の行列を持つ大規模な計算は,通常の数値解析的なアプローチではメモリー領域の面や計算時間の面でも破綻をきたす.そこで,本研究は、近年我々が開発した近似逆行列解法を利用して、次のようなアプローチで共有メモリー型の計算機に実装する算法の開発を行っている.(1)大型行列のシュールコンプリメントを構成する(2)グリーディーな算法を用いて,マルチレベル処理を行い大規模な行列の次元を減少させる(3)前処理行列として近似逆行列を使用する(4)近似逆行列の要素のドロップオフを行う(5)サイエンティフィク・ヴィジュアリゼーションの利用以上の観点にたちLanczos法に基づく算法を共有メモリ型の計算機に実装開発中である.
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