研究概要 |
複雑領域上の正調和関数についてMartin境界と呼ばれる理想境界をより分かりやすく具体的に表現できるようにした. Martin境界はすべての正調和関数を表すため, その具体的な決定は正調和関数全体の研究に大きな意義を持つ. Martin境界の具体的な決定には(一様)境界Harnack原理が大きな役割を果たす. 鏡界Harnack原理と密接な関係のあるCarleson評価や調和測度を調べ, 境界Harnack原理とCarleson評価の同値性や調和測度の二重性についての特徴付けを得た. また, 境界Harnack原理やCarleson評価をGreen関数を用いて表現することにより, 一様鏡界Harnack原理が不成立であるが, 大局的境界Harnack原理が成立することをHolder領域領域や一般化されたJohn領域に対して示した. 古典的な尖細性のある種の一般化として, 極小尖細集合がある. これはMartin鏡界の特定からさらに進んで, 元の領域との接続具合を表すものである. 境界Harnack原理の重要な応用として極小尖細集合の特徴付けを一様領域に対して行った, 容量密度条件からHardyの不等式が従うのはAnconaが証明しているが, それを応用して容量の擬加法性を示し, Whitney分解に細分したWiener型判定法を極小尖細集合に対して導いて, 古典的な尖細性との関連を明らかにした.
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