二重べータ崩壊の研究において切望されているCa-48の同位体濃縮技術に関連して、半導体レーザーからの輻射圧を利用したカルシウム原子蒸気を用いた同位体分離法の研究を推進した。具体的には、以下の事柄を実施した。 1. 計算シミュレーションプログラムの作成 Ca-48同位体の吸収ラインに共鳴する連続発振半導体レーザーを、Caの原子蒸気ビームに照射することにより、Ca-48同位体を選択的に偏向させる手法を模擬する計算シミュレーションコードをモンテカルロ法により作成した。これは、実験結果の検討や分離装置の設計に対する有力なツールとなる。計算例としては、適当な条件で、天然には0.2%しか存在しないCa-48を回収率50%程度で100%近い濃度に濃縮が可能であることが試算された。 2. 光源の検討 本研究で用いるカルシウムの電子遷移は基底準位(4s^<21>S_0)と励起準位(4s4p1P1)の間の遷移で、共鳴波長が423nmである。この波長の光源を得るために、846nm付近で発振する半導体レーザー装置、その2倍高調波を得るための波長変換用結晶等の部品を準備し、次年度からの実験的研究に備えた。
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