前年度(20年度)においては主に安定に印加電圧を供給するために沿面放電の原因追及及び劣化を防ぐ方法について研究をおこなった。 主な試験は以下のとおりである: 1、PET又はPEを表面層とし、内部をPPメッシュで一定のギャップ(1.5mm)の単層のテスト検出器の作成(内部ガスは炭酸ガス) 2、雰囲気の湿度を80%程度にまで上げ高電圧を(1〜5kV)まで与え沿面放電の有無を確かめた。なおこの印加電圧は素材の絶縁破壊電圧より十分低いものである。 テスト検出器の端部は無処理、アラルダイトによる碍子形状処理、絶縁ゴム塗料などを試験したがアラルダイトによる碍子形状がもっとも安定であった。また無処理の場合、端部が表面炭化焼損によるトラッキングにまで発展する場合も確認された。しかしながら製作精度によるバラツキがあるため安定な工法の確立が必要と考える。 今年度においては単層での技術を踏まえ接着による多層化を試みる。現在計画中の工法としては単層を複数製作し、それらをバギングフィルム工法で接着するもので、接着剤としてほアラルダイト(エポキシ)、紫外線硬化型接着剤、ホットメルト接着剤を導入することにした。 またフィルムを均一の力で張るためにスクリーン印刷で用いられる紗張機の技術を応用することも計画中である。 ここでの多層構造は3層または5層程度を考えており、中間層の素材については現在検討中であるがいくつかのパターンを試験したいと考えている。 多層構造製作の後、絶縁試験、放電試験を行い、パッド読み出しによる信号のデータ解析を行う。
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