研究概要 |
Mn酸化物の低温における反射スペクトルの時間変化を測定したところ、反射光強度が時間とともに非常にゆっくり振動していることが判明した。その振動の周期は,数時間から数10時間という異常な長さである。この異常な反射率振動は波長によってその振動周期が異なるために、スペクトルが時間とともに変化する。この現象は、強相関電子系の物性の何かを反映している可能性が高いため、その点を明確にする必要があると考えた。本研究の目的は、「1.この異常な反射率振動が強相関電子系の示す物性に起因するものなのか,測定の問題なのかを明確にすること」である.さらに、「2.どのような物質・条件で観測されるのかを系統的に調べること」にある。 本年度は,測定系を完成させ,これまでと同じ試料を用いて,反射率振動が測定系の問題でないことを確認した.また,その他の物質(半導体,金属)でそのような振動が見られないことも,ある程度は確認できたが,再現性などにまだ問題が残っている.さらに,振動が発現する温度の確定,振動周期と波長の関係,入射光強度との関係などを明らかにするために,系統的な測定を行った.しかし,一つの測定に週の単位で時間がかかるため,パラメータを複雑にふることができずに,詳細な解析を行えるほどのデータは取れていない.19年度は,波長依存性と強度依存性に重点を置いて測定を行ったが,来年度は引き続き,再現性を検証を行い,その後に,試料を系統的に変えて,物性と反射率振動の関係を明らかにする.
|