本研究は、新しい超流動(ボース・アインシュタイン凝縮(BEC))現象の発見を目指して、固体水素表面に電子を高密度に束縛させることで表面上に強電場領域をつくり、電場効果によってできる液体相を極低温まで保持して超流動状態を探索するという、全く新しい発想に基づく萌芽的な研究である。 水素分子は質量が軽いため、もし低温まで過冷却液体水素状態を保てれば、超流動などの量子効果の発現が期待される。本研究は、表面上に束縛した電子の近傍に生じる強電場によって極低温液体水素を実現し、期待される超流動状態を、超流動を高感度で検出できる「ねじれ振り子」法によって探索しようというものである。融解した状態で1K程度の極低温域まで冷却すれば、水素のボース・アインシュタイン凝縮および超流動転移が期待される。平成20年度までの2年間で、超流動の探索を高感度の連成ねじれ振り子の共振周波数測定により行うことを計画している。 平成19年度は、本研究に必要な極低温クライオスタットの準備を完了し、アルミニウム合金を用いた二重連成ねじれ振り子装置の製作をほぼ完了した。平成20年度5月までに実験装置を完成させ、本格的な超流動探索実験を開始する予定である。
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