研究概要 |
本研究の目的は,量子電磁気学的(QED)な視点から新しい電子線蛍光体の開発の手法を導入することである。具体的には,光の波長と同程度の非常に真球度の高い誘電体微小球を作り,この中に発光元素をドープし,微小球の共鳴モードを利用して発光特性の制御をおこなう。従来の研究と比較しての特徴は,実用蛍光体を視野にいれ励起源として電子線をもちいる点である。平成19年度は以下の研究を実施した。 (1)微小球蛍光体の作製 数μm程度の大きさをもった酸化チタン(TiO_2)微小球をアルコキシド法で作製した。この方法は,混合溶媒中(n-octanol と and acetonitrile)でのチタンブトキシドゐ加水分解によって,大きさが数μm程度の極めて真球度の高い酸化チタン微小球を作製する方法である。この誘電体微小球に発光元素として,Eu^<3+>(赤)さらには,Tm^<3+>(青),Tb^<3+>(緑)などをドープした。 (2)微小球蛍光体からのウイスパリング、ギャラリー・モードの観測と解析 電子線励起発光スペクトルは,走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electro Microscope)を改造した装置(現有品)で観測した。カソードルミネッセンスにはスペクトルに特徴的な周期構造が観測され,微小球蛍光体からの球の共鳴モード(ウイスパリング、ギャラリー、モード)が観測されたと考えている。平成20年度に詳細な実験を進め,電子線励起発光スペクトルと光励起発光スペクトルとの相違について検討する。
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