研究概要 |
本研究では,波長可変な赤外面発光ダイオードレーザーを用い,火山噴気に対して"シングルエンド"で高速な組成観測の試行実験を行う.本研究の成功により,火山ガス,特に個々の噴気孔から放出されるガスの組成を安全にかつ正確に測定できる可能性が開かれる. 本年度では,計画を確実に実施するために,改めて実験に用いる製品の性能や価格を見直して,より効率的な研究資金の利用に配慮した.最も重要な構成要素である赤外面発光ダイオードについては,CO_2観測に適した製品が,突然製造中止となる事態に見舞われた.これを受けて本年度はH_2Sの観測に適した赤外面発光ダイオードのみ購入した.半導体レーザー光は連続発光なので,これをパルス化するために,ローター式のオプティカルチョッパーを採用した.同期検出に必要とされるロックインアンプについては,最初デジタル式アンプの購入を検討し,複数のメーカー製品の価格を比較したが,研究費の制限により,購入を断念した.替わりにアナログ式の安価なロックインアンプを購入した.赤外レーザー光信号の検出のためにInGaAsフォトダイオードを購入した.このフォトダイオードは特に赤外光に感度が高い.検出信号の処理にはオシロスコープが必要であり,多くのメーカーの製品性能を比較検討した.最終的に,軽量で,表示が液晶パネル式のポータブルスコープを購入した.目的とする赤外光以外の妨害光を除去するために,1580nmを透過中心波長とする干渉型のバンドパスフィルターを光学フィルター専門メーカーに特注し購入した.赤外レーザー光は目視できないので,赤外光のアライメントを確認するための目的で赤外線ビューアーを購入した.このビューワーでは2000nmの赤外光まで可視化できる.
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