1. 本年度は、主として実験システムの構築を行い、予備的な実験を実施した。まず、ファラデーセル型偏光解析装置に搭載可能な真空実験容器の設計し、その製作を行った。試料を冷却するために、ヘリウム圧縮型冷凍機により試料基盤を冷却可能なシステムとし、‐150℃程度までの冷却が可能であることが確認された。また、本実験装置では、HC1ガスなどの強い腐食性のガスを使用するため、通常の真空装置では、必要な真空状態を作ることが困難である、このため、真空排気系に直接腐食性ガスが流入しないようなシステムを新たに考案した。 2. 氷結晶試料表面を作成するためにネガティブクリスタル法を用いるが、このための氷単結晶試料を作成するための単結晶育成装置を製作した。この装置により、直径30mm長さ20cmの良質の円筒状氷単結晶の供給が可能になった。供給できる単結晶の量は、2本/月であるが、実験に使用する量としては十分である。この単結晶を使い、氷のネガティブクリスタルを作りシステムも構築した。これは、細い注射針を氷単結晶に突き刺し、注射針を通して氷をゆっくり蒸発させるkとで、針の先端に六角柱状の穴を作る装置である。この装置で、1-2mmのサイズの清浄かつ面指数の決まった良質表面を作成することができるようになった。 3. この試料を、真空容器に入れ、偏光解析装置で測定を開始した。このシステムで、氷表面薄膜の高感度測定が可能であることが明らかになっており、2年度には氷結晶表面にHC1ガスを吹き付けたときに表面構造の変化をモニターする本格的な測定を実施する。
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