研究課題
昨年度の経験を生かして、1600℃までの温度を安定して出せることを目指し、X線装置に搭載できる加熱炉プロトタイプを作成した。これを用いて、高温での加熱をおこないながらX線CT装置上で透過像撮影を行った。これにより、1500℃までの温度を安定して出すことができるようになったが、高温を到達させるために用いたアルミナ製の炉心管や、白金線発熱体の狭い隙間のため、X線の透過率が低くなりまた試料全体を一度に撮像することが出来なかった。また、加熱炉を小型化したため、炉の外壁からの輻射によりX線管球やCCDカメラに被害を与える可能性があり、残念ながら長時間を要するCT撮影をおこなうことまではできなかった。水冷も含めて炉にさらに改良を加えることにより、1500℃までの温度でのCT用の加熱炉の実現が可能と思われる。時間系列をもつ大容量の3次元画像の再構成には長時間がかかるので、このためのハードウエアの開発をSPring-8においておこなった。また、これらのデータの3次元画像の解析のためには、すでにSLICEと呼ばれるソフトウエアを開発しているが、このバージョンアップも引き続きおこなった。一方、本研究課題に関連して、マグマの脱水発泡過程を調べるために、火山ガラスの加熱発砲実験も行っている。昨年度ガス内熱炉を用いて作成した含水量の異なる一連の含水玄武岩ガラスを用いて、通常のガス混合炉により、加熱温度・時間を変化させて系統的な加熱実験をおこなった。これにより、従来観察されていた2つの発泡モード((1)不均形による発泡と(2)ナノスケール石の結晶成長に誘起された微細空隙の生成)が、どのような温度・含水量で時間発展していくかを明らかにした。これにより、(2)の特異な発泡モードの出現する条件を求め、天然のマグマ活動との対応を議論した。
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Journal of Geophysical Research., 113, B07208 113
ページ: B07208