本研究ではタンパク質や核酸等の生体高分子を本来は不必要な過剰な水分子が無い状態で反応させることにより反応速度の高速化を図ることが可能であるか実験的に検討を行うことを目的としている。そのために本研究では生体高分子を帯電させることによって電界を用いて空間中に保持すること、特にプラズマ中における生体高分子の保持と反応が可能であるかを検討する。 今年度はタンパク質や核酸等の生体高分子と放電プラズマとの相互作用を実験的に調べるため、大腸菌を大気圧下での誘電体バリア放電に曝露した場合の生菌数の変化、DNAおよびタンパク質の電気泳動による解析を行った。 その結果、放電電圧の上昇および放電時間に伴ってGFP産生大腸菌の生存数が減少することが確認された。またバリア放電への曝露によって細胞を破壊し、DNAおよびタンパク質が細胞外へ漏出することがわかった。放電への長時間の曝露によってDNAおよびタンパク質の両方が損傷を受けることが分かった。またタンパク質の損傷は放電への曝露量に伴って、修飾・変性→切断・分解の順で生じていると考えられる。
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