研究課題/領域番号 |
19655005
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
南部 伸孝 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (00249955)
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研究分担者 |
徳江 郁雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90101063)
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キーワード | 同位体濃縮 / 同位体組成 / 安定同位体比 / 質量依存性分別 / 質量非依存性分別 / 温室効果ガス / エアロゾル / 第一原理計算 |
研究概要 |
太陽放射と地球放射はほぼバランスしているが、温室効果ガスが増えることにより地表面からの放射を温室効果ガスが吸収してしまい、地球から宇宙空間に出て行く放射(地球放射)が減少してしまうこととなる。つまり、放射のバランスくずれ、大気の温度が上昇することとなる。一般に、温室効果ガスとしてよく知られている分子として、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素(N20)など挙げられる。そして、そのエネルギー吸収特性および大気循環過程などがかなり詳細に解明されて来ている。ところが、吸収特性や循環機構が全く不明な物質としてエアロゾルの解明がここ数年の間に重要視され、様々な研究者が解明に取り組んでいる。本研究課題では、成層圏硫酸エアロゾルの循環機構を解明することを主な目的とした。特に安定同位体を用いた硫黄化学種の動態解明を行う。具体的には成層圏における硫黄化学種の連鎖反応サイクルとして5つの反応が検討されている。本年度は、硫化カルボニル(COS)の光解離過程および硫化カルボニルとOHラジカルの反応における硫黄同位体分別係数の決定を行った。COSの光解離断面積に関しては質量非依存分別の兆候を見出した。またこの原因は、これまでこのような現象の説明によく利用されている分子の「零点振動エネルギー(ZPE)」差では説明できない結果となっている。一方、COSとOHラジカルの反応過程ではZPE差により説明できる質量依存分別過程と結論づけられた。さらに、他の反応系としてSO分子の光解離過程の検討を始めた。特にこの系は、実験による測定が事実上不可能な系である。そこで、光解離過程に関連する電子励起状態のポテンシャルエネルギー曲線を決定した。その結果によるとスピン禁制遷移である三重項状態への非断熱遷移が解明に不可欠な系であると判明した。
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