ロタキサン分子を基盤とする新しい機能性分子設計と戦略的な合成法によるリニア分子モーターの基本動作系の構築を目的とし、また新しい研究領域・分野をつくることを目的に、新規なロタキサン分子並びにそれらの特性評価を行った。その結果、(1)従来まで不可能であったクラウンエーテルーアンモニウム塩型ロタキサンの中和法を確立し、2級アミン型ロタキサンを初めて合成した。また(2)輪成分のサイズの変更や(3)2級アミン部位を3級アミンへ変更する手法の開発によって、分子の運動性やコンポーネント間の相互作用に大きな変化が現れることを明らかにした。さらに(4)安定ニトリルオキシドを用いた末端封鎖反応を基盤とするpH応答型分子スイッチを開発した。これらの方法によって、輪成分の並進あるいは回転運動を制御でき、分子モーターの基本動作系として利用できることが明らかとなった。並びにこれらの基本動作系を利用した(5)ネットワークポリマー(ポリロタキサンネットワーク)の構築法についても検討し、ナノスケールの分子運動をマクロな動的挙動へと伝搬するための新たな知見を得た。
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