自己組織化により構築したナノ構造中に機能性部位を精密配列することを目的として、柔軟な分岐鎖に内包された剛直共役鎖を有する両親媒性デンドリマーの合成を検討した。最初に、前年度開発した合成法(薗頭反応による共役鎖構築、鈴木一宮浦反応による分岐側鎖導入)により親水性末端基を持っデンドロンの合成を行なった。その後、疎水性デンドロン、親水性末端基を持つデンドロンを順次薗頭カップジングによリポルフィリン核に導入することにより、種々の両親媒性デンドリマーの合成を達成した。合成したデンドリマーの構造はNMR、MALDY-TOF MSスペクトルによって確認した。合成したデンドリマーはTHF中で461nmに鋭いSoret帯の吸収、671nmにブロードなQ-帯の吸収を示した。さらに、THF中でデンドジマーの分岐鎖およびポルフィリン核を励起するといずれの場含も680、755に蛍光が観測された。この結果より分岐鎖から共役鎖への励起エネルギー移動が起きていることがわかった。次に、デンドマーのTHF溶液を水に滴下すると溶液の色が若干変化した。この溶液の吸収スペクトルを測定すると吸収ピークのブロードニングおよび長波長シフトが観測された。この結果は、会合体の形成を示唆している。さらに、溶液をTEM観察すると会合体が確認できた。分子の片側末端だけに親水基を導入したデンドリマーではミセル型、分子両末端に親水性基を導入したボラ型デンドリマーではワイヤー状会合体が観察された。以上の結果は、親水性末端基導入により、共役鎖内包型デンドリマーを自己組織化できることを示す重要な結果である。
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