研究概要 |
本年度は,装置の改良及び液/液光導波路の生成条件の検討とそのキャラクタリゼーションを行うとともに,液/液光導波路(LLW)を用いる金微粒子生成に関する予備的な検討を行った。 まず,コア流を安定化させるために,コア用ステンレス管先端にテーパーをかける,また,測定時の屈折率の影響を軽減するために外管に角柱セルを用いるなどの改良を行った。この改良装置を用いることにより,溶媒系として水/NaCl水溶液あるいは水/エタノールなどの光導波路の安定な生成条件を見出した。また,アーベル変換などのデータ処理法を活用することにより,導波光のコア内の強度分布を実測値から計算で求め,液/液光導波路の安定性を評価した。 さらに,水/NaC1水溶液光導波路を用いて,コアに水に溶解させた塩化金酸イオン(AuC1〓)を,また,クラッド流に還元剤であるアスコルビン酸を添加することにより,光導波路で反応を起こさせたところ,導波光の強い散乱が観測された。アスコルビン酸無添加では,その散乱は全く観測されなかったので,この散乱現象は金微粒子生成によるものと思われる。 このように,現在は予備的な実験の段階であるが,次年度は,反応条件のさらに詳しい検討を行うとともに,微粒子の測定法として,散乱光の詳しい検討や蛍光物質を利用する間接吸収法などの検討を行うことにより,金属粒子の粒径および吸収スペクトルなどに関する分光化学的性質に関する知見を得たい。さらに量子ドットの生成も試みる。
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