溶液試料のファラデー効果の測定例は極めて少ないことから、まず、常磁性イオン水溶液、および反磁性溶液のファラデー効果を、パルス磁場により測定する方法・装置を製作した。磁場の発生は小型の電磁石により行い、1ミリ秒の間に10T以上の磁場を発生できることを確認した。常磁性イオンとして、一連の希土類(III)イオンを試料とし、ファラデー回転角よりヴェルデ定数を求めた。このヴェルデ定数は、希土類イオンの濃度と溶液の磁化率に直線的に依存することが実験的に証明された。一方、反磁性の溶液では、ファラデー回転角は逆の方向となり、正のヴェルデ定数を与えることが確認された。これらの知見は、ファラデーイメージング法を開発する上で、貴重なものである。パルス時間が1ミリ秒以下であることは、熱の発生を抑制する上で有効であった。さらに、キラルな溶液では、キラリティーに起因する回転と磁化率に起因する回転が重層することが、予備的実験で確認された。
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