ファラデー回転角あるいはヴェルデ定数は、光学的に透明な液体や有機物、無機物の屈折率に磁気誘起キラリティーを示す。たとえば、水のヴェルデ定数は5.083度/Tcmでトルエンの10.3度/Tcmとは明らかに異なる。そこで、ファラデー回転角を顕微2次元画像として測定し、透明な試料においても磁気キラルイメージが得られることを示した。本研究では、パルス磁場を利用する顕微磁気キラルイメージング法を発明し、以下の点を明らかにした。 1)パルス磁場の発生装置を作製した。 2)レーザー光を用いる顕微偏光計測系を組み立てた。 3)液体試料の顕微偏光測定を行い、パルス磁場変調による2次元のファラデー効果をCCDカメラで画像として測定した。 これまで、液体や有機物のファラデー回転角(ヴェルデ定数)の実測値は極めて少なく、ましてや生体組織については皆無であることから、基礎的なデータとして、さまざまなソフトマテリアルのファラデー回転角の測定を行い、ヴェルデ定数と液体分子の電子構造や他の物性(特に磁化率)との相関性を実験的に検討した。このようなデータの集積により、今尚有効な理論がなく、また実験的にもデータの蓄積が少ないファラデー効果に対する理解が一層深化した。このように、本研究では、顕微磁気キラルイメージング法の原理を実証し、プロトタイプの顕微キラルイメージング装置を構築し、当初の目的を達成することができた。
|