研究概要 |
パラジウムを触媒として用い、トリエチルホウ素を促進剤として用いると、2-メチレン-1,3-プロパンジオールの一方のアリルアルコール部位がアリルアニオンとして、他方のアリルアルコール部位がアリルカチオンとして作用する。例えば、アルドイミンとの反応では3-メチレンピロリジンが高収率でえられることを既に報告している。即ち本法によると2-メチレン-1,3-プロパンジオールから直接的に双極的な反応活性種であるトリメチレンメタンを発生させることが可能であり、極めて有用性の高い特徴的な反応となっている。本申請課題では、上記反応を更に拡張するため、2、3-ビスメチレン-1、4-ブタンジオールからの1、4-双極子の発生の可能性を検討した。即ちパラジウム0.1等量、トリブチルポスフィン0.2等量、トリエチルホウ素4.8等量存在下、2、3-ビスメチレン-1、4-ブタンジオールとベンズアルデヒド-アニシジンから調製したアルドイミンを反応させると予期生成物であるN-アニシル-3、4-ビスメチレン-6-フェニルピペリジンが20%の収率で得られた。しかし、主生成物として2、3-ビスメチレン-1、4-ブタンジオールの片方のアリルアルコールがイミンに求核攻撃したのみで、他方のアリルアルコール部位は未反応のものが得られた(60%)。より活性が高いと予想される2、3-ビスメチレン-1、4-ブタンジオールのビスベンジルエーテルを用いても、同様の結果しか得られなかった。今後はトリエチルホウ素の代わりにトリエチル亜鉛やアルミニウム化合物を用いて所期の目的を達成する。
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