研究概要 |
従来のカラムナー液晶とは根本的に異なる、新しいカラムナー液晶物質の設計合成に成功した。合成した化合物はいずれも、分子内に一般的な剛直部位(液晶形成基)をもたないにもかかわらず、一次元分子鎖を基本構造とするカラムナー相を示した。機能団として水素結合基,酸性基,希土類イオンを有する長鎖アルキル型液晶を基盤として、新しいカラムナー液晶の物質群を確立することができた。また、固体薄膜の調製法の検討に関しては、最も簡便な塗布法によって、一次元カラムナー構造を保持した均質な薄膜が容易に得られることがわかった。さらに、カラムの一軸配向制御(モノドメイン化)に関しても、流動性の液晶状態において数kHzの交流電界を印加することによって達成できることが明らかとなった。以上の成果を踏まえ、一次元カラム構造を有する液晶薄膜の電気伝導度測定を行い、有機材料系での無水プロトン伝導に関する新しい概念を提案、実証することができた。新規カラムナー液晶の分子設計指針の確立、一次元ナノ規則構造材料による無水プロトン伝導体の実現、の両面を達成することができた。以上の成果により、プロトン共役分子システムの構築に向けた当初の研究目的は達成された。
|