研究課題/領域番号 |
19655049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真嶋 哲朗 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
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研究分担者 |
立川 貴士 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20432437)
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キーワード | タバコモザイクウィルス / 光機能化 / 光電変換デバイス / ポルフィリン / 超分子 / スタッキング / ナノ空間 / 光機能性分子 |
研究概要 |
これまで、タンパク超分子をテンプレートとして用いナノ材料を1次元的もしくは2次元的に配列させる方法や、形成された超分子上に無機物を集積させ化学的にナノワイヤやナノ粒子を作成する方法が提案されている。いずれも一定の成果が得られているものの、作成位置の選択性や均一性という点では実用的な水準に達しているとはいえない。また、複雑なプログラムに従った分子集合による高次構造化や機能性の発現と制御、さらにはナノ空間内での分子間相互作用や化学反応は、未だに達成されておらずこれからの課題である。そこで本研究では、優れた時間応答性と空間分解能を持つクリーンなエネルギーである“光"による機能の発現と制御を目指し、光機能性分子(光異性化分子や光を吸収し電子移動及びエネルギー移動を引き起こす分子)を部位特異的に結合させた光機能性タンパク超分子を創製を行った。 紅色光合成細菌の光捕集系II(LH2)を模倣するため、すでに確立したタバコモザイクウィルス(TMV)の合成法及び精製方法、並びに光機能性分子による修飾法によって、TMVコートタンパクの内孔側にポルフィリン誘導体を導入した。これを、TMVコートタンパクの自己集合によって、ロッド状のナノ構造を形成させた。本年度は、ロッド状のナノ構造を、原子間力顕微鏡(AFM)によって解析した。また、ポルフィリンのπ-スタッキングが拡張した光機能化TMV超分子の構造と機能性は、吸収、蛍光スペクトル及びフェムト秒過渡吸収測定により調べた。これによって、TMVの超分子構造とポルフィリン間の相互作用について議論し、バイオ光ファイバー及びバイオ導電性ファイバーの開発への展開が示唆された。さらに、ヘテロなクロモフォアの導入に着目し、エネルギー移動の系では、フリーベースポルフィリンとZnの配位したポルフィリンを用い、電子移動の系では、電子供与基(亜鉛ポルフィリンなど)と電子受容基(フラーレンなど)を用い、それらの混合比を変えることによっで効率的な電荷分離の構築についての知見を得た。
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