研究課題/領域番号 |
19655053
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
持田 智行 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30280580)
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研究分担者 |
高橋 正 東邦大学, 理学部, 教授 (30171523)
桑原 大介 電気通信大学, 機器分析センター, 准教授 (50270468)
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キーワード | フェロセン / イオン液体 / 相転移 / 磁性 / 結晶構造 |
研究概要 |
今年度は、前年度合成法を開発したフェロセニウム系イオン液体について、多様な誘導体を合成し、それらの粘度、熱物性、磁気特性の評価を進めた。 1置換もしくは2置換フェロセニウムカチオンとフッ素系アニオンを組み合わせた塩は、そのほとんどが融点100℃以下のイオン液体となった。これらの液体はヘキサンなどの非極性溶媒とは相溶しないが、極性有機溶媒とは良好な相溶性を示した。水に対する溶解性は置換基によって変化した。 熱分析によって、系の特徴を明らかにした。第1に、融点のカチオン依存性を検討した。カチオンのアルキル基を伸長すると、融点の急激な低下がみられた。分枝アルキル体では、直鎖体より数十度融点が増加した。第2に、TFSI系アニオンの炭素鎖伸長の効果を検討した。この場合、融点はほとんど変化せず、粘度のみが急激に増加した。すなわちカチオンの置換基は融点、アニオンの置換基は粘度に主たる影響を与えることが明らかとなった。第3に、粘度と相挙動の相関について検討を加えた。これらの液体には、(i)冷却過程で結晶化するもの、(ii)ガラス化するもの、(iii)条件によって結晶化・ガラス化を起こすもの、の三種が存在し、低粘度の塩は結晶化、高粘度の塩はガラス化を起こすことがわかった。 メスバウアー分光によって、フェロセニウム塩の結晶およびガラス状態における格子力学的検討を行い、分子運動性の差を定量的に評価した。また固体NMR分光により、相変化に伴うスペクトル変化を検証した。 これらの磁気物性についても検討を加えた。磁化率測定の結果、フェロセニウム系イオン液体は常磁性流体であることがわかった。特に強磁場中では、結晶化・融解に伴って、ヒステリシスを伴う顕著な磁化率の変化が認められた。
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