研究概要 |
特定の細胞を狙って薬物等を送達すること,すなわち細胞ターゲティングは,副作用のない疾患治療や,病変部位の早期発見など広範に応用できる重要なテクノロジーである.本研究では,ケージド分子プローブという新しい概念に基づく疾患細胞の高選択的ターゲティング法を提案する. 我々は,活性化マクロファージや癌細胞など多くの疾患細胞において,細胞表面タンパク質に加えてマトリクスメタロプロテアーゼの発現が亢進していることに着目した.つまり,特定のマトリクスメタロプロテアーゼによって切断された場合のみ,細胞表面タンパク質と結合可能になるように分子プローブをデザインすれば,それは疾患細胞に対してより高い選択性を獲得すると考えた.平成20年度においては,平成19年度までに開発したケージド分子プローブについて,培養細胞をもちいて検討を行い,当該ケージド分子プローブがマトリクスメタロプロテアーゼによって切断された場合のみ,スカベンジャー受容体を発現する細胞に選択的に取り込まれることを示した.続いて,正常細胞(単球)を分化させたマクロファージ,疾患状態に誘導した炎症性マクロファージを用いて検討を行い,本研究でのケージド分子プローブが疾患状態に誘導した炎症性マクロファージに特異的に取り込まれることを示した.
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