ジアリールエテンは、溶液中では非常に優れた光反応性、特に高い着色体への変換率を示す。しかし、高分子媒体中においては、時として着色体への変換率が非常に低下する。本研究では、高分子媒体中における光反応性を溶液中におけるレベルまで高める方策として、デンドリマーにすることを考えた。デンドリマージアリールエテン5種を合成し、その反応性を確認したところ、ポリカーボネート中において、その無色開環体でドープすると、30-40%の変換率しか示さないが、光定常状態(約90%が着色体になっている)でドープすると、繰り返しの光反応において70%以上の変換率を示すことがわかった。特に、デンドリマーの世代が高いと、より高い変換率を示した。 また、デンドリマーの世代が低いと、無色開環体で入れた時と光定常状態で入れた時の変換率の比は1:2位だが、デンドリマーの世代が高いと1:3程度になった。 研究期間の2年目においては、媒体の効果を中心に研究する予定である。
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