軽元素の共有結合ネットワークからなる結晶構造内のオングストロームサイズの空洞を「機能設計の場」と捉え、ゲスト種の導入によって電子・スピン・フォノンを独立に操り、ハイブリッド機能を発現し、モノリシック材料の多機能化を実現することを目的として、B-S二元系化合物から出発し、超高圧力下でのmacrotetrahedron骨格構造への原子挿入反応を検討した。B-S二元系高圧相としてBS、B_2S_3の2相の存在を確認し、P-Tダイアグラム上での生成領域を確定した。BSは二次元層状構造を有しており、層間には広い空隙を有することから、原子挿入反応のホスト構造として適していることを知見した。B_2S_3高圧相はBS_4四面体の多段連結からなるマクロテトラヘドラル構造を有しており、Ca-B-S三元系に展開することによって、空隙内にCa原子が配置した構造を形成することを知見した。 同様の共有結合ネットワークを構築する可能性を見出すため、一価金属イオンを含むCu-B-O、Ag-B-O三元系酸化物の高圧合成を行い、四面体配位のホウ素を有する結晶構造形成を調べた。B-O酸化物系では、B-S系とは異なり、マクロテトラヘドラル化合物の形成は認められず、アモルファス相が形成されやすいことが判明した。 メタロイド共有結合性化合物の物質探索を行う過程で、2相の新規強磁性化合物MnGa_2Sb_2、CrGa_2Sb_2を発見し、規則配列したGa-Sb共有結合ネットワーク内に遷移金属原子が直鎖を形成して配置することによって強磁性を発現することを見出した。
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