研究概要 |
これまで開発してきた金属フタロシアニン錯体の持つアレルキャッチ能の向上を目指し、新規なアレルキャッチ能を持つ金属錯体群を合成した。タンパク質の一種であるアレルゲンと特異的に結合するためには、金属錯体内の金属とアレルゲン側鎖との配位結合を制御する必要がある。そこで、今年度は金属フタロシアニン錯体周辺のカルボン酸数を変化させ、試験管中でのアレルゲンとの結合について詳細に検討を行った。2、4,8個のカルボン酸を持つ鉄フタロシアニン錯体を合成しアレルキャッチ能について検討を行ったところ、4と8個のカルボン酸を持つ錯体においてはほぼ同等のアレルキャッチ能を示したが2個の錯体においては著しいアレルキャッチ能の低下が見られた。これはカルボン酸数によりアレルゲンとの配位結合力が変化したことを示している。さらに、アレルゲンキャッチ能の評価方法について検討を行った。ダニ由来のアレルゲンについては簡便な分析キットが市販化されているのに対し、花粉やハウスダストなどのアレルゲンについてはキットがなく正確な評価が難しい。そこで、抗原抗体反応を利用したELIZA法とタンパク質量を評価できる電気泳動法を利用して、様々なアレルゲンの評価を実施した。アレルゲン種によって試料調製法を探索し、それぞれのアレルゲンについての評価方法を確立することができた。この方法により様々なアレルゲンに対してのアレルキャッチ能の評価が可能となり、アレルキャッチ材料の構造とアレルゲン種との関係を明らかにすることができる。
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