これまで開発してきた金属フタロシアニン錯体の持つアレルキャッチ能の向上を目指し、前年度合成した新規なアレルキャッチ能を持つ金属錯体とナノファイバーとの複合化について検討を行った。タンパク質の一種であるアレルゲンを効率的にキャッチするには、繊維の大表面積化が必要となる。そこで、今年度は直径が300nm程度の繊維への金属フタロシアニン錯体の導入および試験管中でのアレルゲンとの結合について詳細に検討を行った。キャッチ材料で機能化したナノファイバーのアレルキャッチ能について検討を行ったところ、非常に高いキャッチ能を示すことが明らかとなった。これは、繊維の表面積増によるものであり、キャッチ材料とナノファイバーとの複合化の高い可能性を示すことができた。さらに、アレルゲンキャッチ能の評価方法について検討を行った。ダニ由来のアレルゲンについては簡便な分析キットが市販化されているのに対し、花粉やハウスダストなどのアレルゲンについてはキットがなく正確な評価が難しい。そこで、抗原抗体反応を利用したELIZA法とタンパク質量を評価できる電気泳動法を利用して、様々なアレルゲンの評価を実施した。アレルゲン種によって試料調製法を探索し、それぞれのアレルゲンについての評価方法を確立することができた。この方法により様々なアレルゲンに対してのアレルキャッチ能の評価が可能となり、アレルキャッチ材料の構造とアレルゲン種との関係を明らかにすることができた。
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