1-アザ-18-クラウン-6-エーテル(1-Aza-18-C-6)骨格を有するスチレンタイプのモノマー(VBA18-C-6)を合成し、そのラジカル重合により対応するポリマー(M_n=1-2万程度)を合成した。合成したポリマーをシリコンウエハー上へのスピンコートにより薄膜を形成させた。形成したポリマーの薄膜をKI水溶液中に24時問浸漬した。その結果、フィルムが水に溶解して、膜圧の減少が起こり、正確な屈折率の評価は困難であった。そこで、架橋膜の作成を試みた。架橋部位としてオキセタニル基を有するスチレン誘導体を合成し、このモノマーとVBA18-C-6との共重合(仕込み比;10:1)を行い、合成したポリマーのフィルムを作成し、光架橋させ、水に不溶な架橋膜を作成した。次に、このポリマーフィルムをKI又はLiI水溶液に浸漬し、屈折率を測定した。しかし、ポリマーフィルムの屈折率の上昇は観測されなかった。このことからポリマーフィルムが光架橋したことにより、ポリマーの膨潤性が低下したために、包接化が起こらなかったと思われる。そこで、次に架橋部位の割合を減らした共重合(仕込み比;10:0.5)を行い、同様の検討を行った結果、薄膜の位置によっては屈折率が大幅に上昇し、屈折率は2.39まで上昇することが判明した。しかしながら、薄膜の表面は均一ではなく、位置によっては屈折率が全く上昇せずに、むしろ低下する部位も存在した。このことは、カリウム塩が包接することによって、そのカウンターイオンのヨウ素により屈折率は大きく上昇しているが、その包接挙動が均一的に進行していないことを示した。均一に包接を進行させ、かつ包接後のポリマー薄膜が良好な均一膜を保てるポリマーを分子設計することが出来れば、2.0以上の高屈折率を有する薄膜が開発できる可能性を示した。
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