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2008 年度 実績報告書

収差補正STEMによるシリコン中ドーパント拡散及びクラスタリングの単原子直視研究

研究課題

研究課題/領域番号 19656007
研究機関名古屋大学

研究代表者

山崎 順  名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (40335071)

キーワード収差補正STEM / シリコン / ドーパント / アンチモン / 拡散 / 白金 / 単原子 / アモルファス
研究概要

前年度はシリコン結晶中に存在するドーパントアンチモンの静的構造の観測技法について基礎を固めることに成功した。本年度はこの成果を元にしてアンチモン原子の拡散のダイナミクスを解明するため、加速電圧120kVでの観察および試料を冷却しての実験に取り組んだ。しかしその結果、電子顕微鏡観察時の電子線照射による3つの効果、すなわち(1)試料加熱効果、(2)入射電子と固体中原子の間のノックオン衝突によって形成される原子空孔とその運動、(3)ノックオン衝突によるドーパント運動、が複雑に絡み合い、これらの物理現象を分離した実験条件を設定しない限り解明は困難である、との結論に至った。そのためまず、上記(2)の影響の小さい単純な系、すなわちアモルファス中の単原子について、その運動観察データの統計解析処理の基礎を確立することが先決事項である、との判断を下した。
このための試料として白金単原子を内包するアモルファスシリコン膜、および同アモルファスカーボン膜を蒸着法で作製し、低温および低加速電圧で観察することに成功した。その結果、白金単原子は薄膜中で三次元ランダムウォークをしていることが明らかとなり、時間ごとの移動距離を数値フィッティングすることにより拡散定数を求めることに成功した。この結果は、固体中の拡散というマクロスコピックな物性現象と、単原子個々の運動観察というミクロスコピックなデータを直接結びつけることのできた世界で初めての成果である(論文投稿準備中)。このデータでは上記の(1)と(3)の影響が分離できていないものの、今後高温(数百℃)での測定を追加すれば、拡散の活性化エネルギーをも求めることが可能である。本年度中の研究計画の変更により、期間内に当初の目標まで達することはできなかったが、そのために不可欠な基礎データ収集と手法の確立に成功した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 収差補正STEMを用いた非晶質カーボン膜中白金原子の運動の観察2009

    • 著者名/発表者名
      黒島光, 山崎順, 田中信夫
    • 学会等名
      日本物理学会第64回年次大会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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