本研究は、申請者らが現在までに独自に開発したモノサイクル域光パルス(光の振動周期とパルス幅が同程度の光パルス)発生・制御技術を「巨大加速度を発生させる手法」としてとらえること、ならびにスピン角運動量(偏光に対応)だけではなく新たなパラメータである軌道角運動量(光の位相がビーム断面内方位角に依存することに対応)を制御した光である「光渦(optical vortex)」および偏光分布が空間依存する典型的な光である「偏光渦(polarization vortex)」という概念と結合させることを目的としている。 本年度は、モノサイクル域光渦パルスの発生を目指して、以下の無分散光渦パルスの発生実験、高出力軸対称偏光レーザーの開発を行った。 1.従来の超広帯域光渦パルス発生法では、空間分散が生じる、すべての周波数帯域においてトポロジカルチャージがそろわない、といった問題が生じる。これら問題を克服する手法として、軸対称偏光板を用い、空間的に偏光特異性をもつビームを発生させることによる、独自の無分散光渦パルス発生法を考案、また、本手法による超広帯域光渦パルス発生実験を行うことにより、その有効性を実証した。さらには、この手法のJonesベクトルによる解析も行った。 高出力光渦パルスの発生を目指し、半導体レーザー横方向励起バウンス型Nd : GdVO_4の作製を行った。本方法は、励起の手法を制御することにより、高次モードであるLaguerre-Gaussモード発振をさせて、55Wの励起光に対して17.8Wの高出力を得ている。このような高次モード発振に関してモード整合効率の解析も行っている。
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