本研究では、情報通信分野への応用が主体のSiフォトニクスを、医療・ライフサイエンス分野へ展開することを最終目標としており、特に「ニオイ」の源となる気体分子を高感度検出する「嗅覚センサチップ-フォトニックノーズ-」を開拓することを目標として研究を進めている。 研究期間内の具体的な目的は、嗅覚センサチップの開拓に向け、・SiO2上に形成されたSiリング光共振器の分子検出機能を実証することである。 平成19年度は、以下の項目について検討した。 (1)SOI構造を電子ビームリソグラフィとドライエッチングにより加工することで、リング光共振器に2本の単一モード細線光導波路(0.4μm、高さは0.2μm)が0.2μm〜0.3μmの距離に近接して形成された構造(センシング部)を作製した。 (2)作製したSi導波路やリング共振器の光伝搬測定(1.5μm帯)を行ったところ、導波路の側壁荒れに起因した散乱損失が100dB/cm程度と大きいことが判明した。微量分子のセンシングに必要となる高いQ値(>10000)の実現には、側壁荒れを低減できる加工プロセスを実現する必要がある。次年度に電子ビームリソグラフィとドライエッチング条件の最適化を行い、散乱損失の低減を図る。
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