金属酸化物担持ゼオライト触媒を用い、ベンゼン中でプラズマを発生させることにより、カーボンナノチューブ(CNT)と水素の同時製造に成功した。2.45GHzのマイクロ波を200W投入し、100hPaにおいて有機溶媒中でプラズマを発生させることができた。0.5nmの細孔を有するゼオライト粉体に酸化鉄を担持して、カーボンナノチューブ生成触媒として用いた。100mlのベンゼン中にゼオライト触媒を1.0gとフェロセンを0.088g入れ、プラズマを発生させた。生成した黒い粉体をTEM観察したところカーボンナノチューブの生成を確認できた。また、得られた粉体のRamanスペクトルを測定したところ、150〜300nmの位置にラジアルブリッジングモードによる、ピークが観察されたことからも、カーボンナノチューブであることが分かった。プラズマ発生時に同時に生成するガス状成分を、ガスクロマトグラフ法で成分分析した結果、水素ガスが80%の純度で生成していることが判明した。以上のことから、ベンゼン中でプラズマを発生させることにより、水素ラジカルや炭素ラジカルが生成し、それらが再構成される過程で、水素ガスが発生し、共存する触媒によりカーボンナノチューブが生成していったものと考えられる。このことにより、今後はたとえば廃油中でプラズマを発生させることにより、水素ガスやカーボンナノチューブの合成を行い、資源の有効活用を目指していく。
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