研究課題/領域番号 |
19656038
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
國枝 正典 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90178012)
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研究分担者 |
夏 恒 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (40345335)
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キーワード | 放電加工 / 異方性 / 微細加工 / 熱伝導率 / 加工速度 / 単結晶シリコン / 単結晶アルミニウム / 微細化限界 |
研究概要 |
昨年度までの研究より、単結晶タングステンと単結晶シリコンの放電加工において、加工速度の結晶方位依存性が存在することが分かった。そこで、単結晶アルミニウムの放電加工において加工速度の結晶方位依存性が見られるかどうかを調べた。実験には、単結晶タングステンと単結晶シリコンのときと同様にRC放電回路を用いた。そして、浮遊容量のみを用いることによって、最小の放電エネルギーの下で加工を行った。その結果、加工速度は結晶方位によらず、<111>、<110>、<100>方位のすべてで等しかった。そこで、単結晶タングステンと単結晶シリコンについて、加工速度の結晶方位依存性を再度調査したところ、昨年度までのデータが再現できず、加工速度は結晶方位に依存しないという結果が得られた。しかし、結晶面により放電痕径が異なるという事実がある。また、同じ熱加工であるレーザ加工において、単結晶シリコンの加工速度の結晶方位依存性が見られるため、今後さらに実験データを蓄積し、結晶方位依存性の真偽を明らかにする必要性があることが分かった。 一方、放電加工で得られる最小寸法が材料のミクロ組織の影響を受けるかどうかを調べるため、多結晶アルミニウムと単結晶アルミニウムで微細化限界の比較を行った。直径0.3mmの工具電極を用いて2本の溝を加工し、溝の間隔を減少させることによってその間に形成される壁の厚さを縮小していった。その結果、多結晶の場合は4.8ミクロン、単結晶の場合は2.0ミクロンが最小であり、単結晶材料の方が微細化し易いことが分かった。また、破壊した壁をSEMを用いて観察したところ、多結晶の場合は脆性的に破壊しており、単結晶の場合は延性的に壁が変形している様子が観察された。従って、多結晶の場合は粒界で脆性破壊しやすいことが、微細化限界が単結晶より大きい原因であると考えられる。
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