本研究は、被加工物をシリコンとし、大気圧プラズマによる酸化によって除去したい量に応じてシリコンを酸化ケイ素に変換し、最後にフッ酸洗浄によって酸化ケイ素を除去して目的形状を得るという一連の手続きによる超精密加工の開発を目的としている。これまでの基礎実験によって本加工法が実現可能であることは実証済みである。本課題においては、本加工法を実用的な加工法とするために、全く新しい数値制御加工の方法として、微小電極の集合から成るアレイ型の平行平板型電極を用いることを検討する。そして、本加工法が能率の点で実用といえる方法になりうるのかどうかを明らかにすることを目的としている。 本年度はまず、基礎実験として一列に並んだ三個の電極から成る電極モジュールを試作し、隣り合う電極間の間隙と、形成される酸化膜の厚さプロファイルの一様性との関係を調査するとともに、酸化膜厚プロファイルが酸化時間によってどのように変化するか等の基礎データを取得した。そして、SOI(Silicon on Insulator)基板の膜厚を均一化することを対象とし、8インチウエハの1/6の領域をカバーする微小電極アレイ型の基礎実験装置の設計製作を行った。電極サイズは、市販のSOI基板の膜厚分布を用いた加工シミュレーションを行い、必要十分な大きさに決定した。各電極への電力供給方法等を検討し、全ての電極にプラズマを発生させた際に一様な酸化膜が形成されること、電極を試料から遠ざけることでプラズマを消滅することができること等の確認を行い、数値制御加工の準備を整えた。
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