研究概要 |
DVDプレーヤーに使用されているガラス製レンズを量産するホットプレス用金型の素材には,超硬合金が使用されている,超硬合金に対して超微細形状を成形できる加工技術の開発が遅れていることが原因で,金型の最終仕上げには手磨きが行われている。そこで,サイズが1mm以下,粗さが30nmRz以下の超精密微細形状を成形できる,焼結ダイヤモンドPCD製のマイクロ研削工具の開発を行った。 粗さが30nmRz以下の平滑な研削加工面を作るため,工具の先端半径を0.1mm以下に成形できると同時に,半球状の砥石作用面を平坦かつ平滑に成形できる工具平坦化ツルーイング技術の開発を行った。また,半球状の砥石作用面に切れ刃や切りくずを収納するチップポケットとして作用する,ディンプルや螺旋溝を成形するのに必要な工具の姿勢制御装置や,姿勢制御プログラムの開発を行った。 マシニングセンタの円弧運動と平成19年度に試作した工具の姿勢制御装置を使用し,半径が0.1mmに予備成形された半球状PCD工具の表面に,ディンプルや螺旋溝をレーザ成形した。その結果,工具の自転運動と公転運動を断続制御することにより工具表面にディンプルを正方配列させることができた。また,工具の自転運動と公転運動を同時二軸制御することにより工具表面に螺旋溝を成形することができた。 試作したPCD製の工具を使用し,放電プラズマ焼結法で造られた硬さが26GPa Hvの超微粒子超硬合金に対して口0.4×0.2mmの凹状プリズムをテスト加工した。その結果,ディンプルや螺旋溝は切れ刃やチップポケットとして作用していることが確かめられた。しかし,現状では工具平坦化技術が未熟であり,工具表面の微細な凹凸が加工面に転写されるために粗さが80nmRzの加工面しか作ることができなかった。
|