極低温環境中における流体として振舞う物質を実験的に検討することは非常に意義かあると考えられ、また、未知の分野である。そこで、ダイヤモンドクラスターのようなナノ構造を持つ物質が極低温化でどのような振る舞いをするかを実験的に求めることは学術的な特色である。 一方では、ダイヤモンドクラスターが流体としての特性を用いるならば、極低温環境は基より液体窒素、酸素あるいは水素環境化でのマニュピレータヤアクチュエータとして応用できる。このことは宇宙産業や極低温環境での基礎実験装置にたいしてブレークスルーを与えることであり独創的な点であると考えられる。大きさと結合力の間の結合力はほとんどファンデルフールスカでなおかつ化学的に非常に安定であることから流体としての性質を持つ可能性が十分あると考えられる。液体分子の大きさと同程度で表面が化学的に安定で、分子同士を近づけたときファンデルワールス力のみによる弱い結合をする物質を現在の物質科学分野から検討した。 クラスター材としてダイヤモンドだけでなくカーボン、アルミナ、酸化ジルコニュウム、酸化セリュウム、窒化ボロンを試した。また、粒径に関しては50から1000ナノメータを試した。常温真空中でのピストンとしての圧力伝達は同一内径のパイプであれば伝達が可能であることが確認できた。しかし10cmの曲率に曲げたパイプでの伝達は、直管と比較して倍以上の圧力が必要になった。また、パイプ内径の表面粗さの小さい面やテフロンコート面ではクラスターとの摩擦軽減により圧力伝達が容易であることがわかった。 クラスターは水分が表面に吸着すると流動性がわるくなることも実験的に明らかにした。液体窒素温度での実験では、クラスターを封じきったパイプの中に充填する技術について検討する余地があるが、直管での結果では圧力伝達の可能性は充分あることが明らかになった。今後、実験精度を上げて実用化が可能かどうか検討をおこなう。
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