研究概要 |
本研究は,散乱性粒子を含むふく射性媒体の理論的研究を発展させ,ナノ粒子の粒径分布と空間分布を精密に制御して,太陽からのふく射を反射し,視覚的には基盤の色を保存する新たな機能性を持ったナノ粒子構造媒体を創成することを目的としている.本年度は,金属の複素屈折率からミー散乱理論に基づき,放射性媒体中の散乱特性を高精度に計算した.また,酸化チタンやアルミナ等の正確な粒子散乱データベースを構築した.計算には既に構築している空気中の散乱解析プログラムを援用した.太陽光を想定した入射ふく射と長波長放射エネルギー伝播の解析法には,ふく射要素法を適用し,流体科学研究所が保有するスーパーコンピュータで数値解析を行いて計算を行い,最適な粒子径分布と粒子の空間分布の推定を行った.このとき使用した太陽光と大気のふく射モデルはこれまでの解析的研究で確立しているものを使用した. 実験的なアプローチとしては,市販の微粒子を攪拌装置によって攪拌し,均一粒径分布を有する基盤を製作した.また,現有の特注型フーリエ分光器と低温黒体炉を用いてナノ粒子構造体の長波長赤外線反射特性を計測した.長波長ふく射計測については既に実績があるので,本年度得られた実験結果は信頼性の高いものとしてを使用することができ,次年度の研究のためのデータベースとしてまとめた. これらの実験データ並びに数値解析結果を検討して,新たな粒子の選定と粒径分布の制御を行い,より精度の高い機能性ナノ粒子構造体の設計を次年度に行うための仕様を検討した.
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