研究概要 |
通常の燃焼装置では,燃焼熱で燃焼器筐体が熱せられ,また逆にその筐体からの熱によって混合気の予熱(熱再生)や燃焼ガスからの熱損失低下が起こった結果,全体としての燃焼特性が大きく変化してしまう。それに対し本研究では,内部観察が可能な数mm径の石英管内部に可燃性混合気を供給し,外部熱源(電気ヒータやバーナ火炎など)により石英管を加熱する。それにより火炎は,その燃焼速度と混合気流速との関係に基づいて,管内壁表面温度の正勾配中のどこかへ安定化することになる。管の内径が充分に小さく,管内の燃焼による管温度への影響が充分に小さい条件を維持することにより,系の温度はほぼ外部熱源によってのみ決定されるので,熱管理しつつ混合気濃度や流速を独立に変化できる。また管出口を定常的に減圧することで,系の圧力も自由に選択することが出来る。このような装置を用いて燃料種や混合気濃度,混合気の平均流速などのパラメータを変化させ消炎を観察することで,火炎の最低温度の特定が可能になる。このような前提のもと,平成19年度には水素炎バーナによる加熱装置を完成し,メタン空気予混合気による実験を行った。内径2mm管を用いて,減圧による反応停止条件,反応停止までの火炎安定位置の軌跡を調べた。各パラメータによる連鎖分岐反応停止のおおまかな全体像を把握した後,一次元詳細化学反応計算を実施し,連鎖分岐反応停止の特定を目指した実験・計算を進め,消炎メカニズムの検討を行い,低圧時や混合気の極低流速時における最低火炎温度を,数十℃の誤差範囲で特定できることを示している。この結果をとりまとめ,学術雑誌に提出,査読の結果採択が決定した(次ページ)。
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