研究課題/領域番号 |
19656056
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 英生 京都大学, 工学研究科, 教授 (50166964)
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研究分担者 |
阪上 雅昭 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70202083)
岩井 裕 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00314229)
齋藤 元浩 京都大学, 工学研究科, 助教 (90314236)
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キーワード | ブラックホール / ホーキング輻射 / 重力波放出 / ラバルノズル / 超音速流 |
研究概要 |
ブラックホールはそこから如何なるものも脱出できない時空である。ところがブラックホール時空に量子論を適用すると、ホーキング輻射という現象が起こっていることが証明されている。この現象は、ブラックホールからは光や粒子が放射されており、その粒子を遠方で観測すると、振動数の分布がプランク分布に従うという現象である。現実の宇宙では観測が実質上不可能なこの現象を「光波⇔音波」「時空の流れ⇔流体の流れ」という対応によって観測する。実際のブラックホールからの放射では、放出されるのは量子論的な粒子であり、ノズルで実現される古典的流れでそれを観測することは不可能である。そこで、非量子論的な対応物を次のように考える。下流から音波を発しながら、ノズルの流れの流速を速くしていくと、流れが音速を超えたとき音波は上流に伝わらなくなる。しかし、流れが音速になる瞬間にスロートを通過した音波は、ゆっくりではあるが上流に伝わる。この古典的な音波の振動数のパワースペクトル分布が、実際のブラックホールから放出される粒子数の分布に対応していることが、理論的に知られている。そこで本実験では、ラバルノズル内での超音速流実験において、上流側で下流から伝わる音波を計測しホーキング輻射の対応物を実際に観測することを目的とする。 本年度において、蓄圧式の実験装置を製作し、(1)上下流の貯気槽に空気を貯める。(2)下流のスピーカから音波を上流に向けて発する。(3)制御バルブを開き、遷音速流を実現する。(4)スロート部分が音速に達する直前にノズルを通過した音波を上流側のマイクで計測する。という手順の実験を行った。しかしながら、測定対象となる音は非常に微小であり、完全には抽出できていない。よって次年度は、貯気槽におけるノイズの除去、測定対象となる音を更に大きくするためのスロート再設計の2点が主な改良点になると考えられる。
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