研究概要 |
ロープウエーのゴンドラやクレーンの吊荷のように円周方向に揺れる対象物に、半径方向に運動する錘を取り付け、コリオリ力を発生して円周方向の揺れを抑制することができる.本研究では、モータなどで錘を能動的に上下に動かす能動制振に着目し,その理論的な解析ならびに装置の開発を行った.制振対象としては,ゴンドラなどの索動搬器は理論的には剛体振子とみなされるが,それを支えているケーブルの垂れ下がりによって,揺れの周期が変化するので,変位角に応じて錘を上下させるアルゴリズムを作成した.クレーンに関しては,制振装置がワイヤー上にあるためにコリオリ力によって,ワイヤーが折れ曲がる現象が生じる.よって,ワイヤーの変形を考慮した解析を行った.また,模型ゴンドラおよびクレーンの実験装置を製作した. まず,理論解析と実験はよく一致し,解析の有効性が確認された.そして,主系の振幅,錘の質量,錘の位置,錘の移動速度とストロークと制振効果の関係を明らかにした.まず,錘の動きであるが,主系が最下点に来たときに早い速度で上方への移動を開始し,振り子が最上点に来たときに早い速度で下方への移動を開始する台形波的なものがよい.制振効果は錘の質量とストロークにほぼ比例する.また,錘の位置は下方の方がよい.制振力は主系の振幅のほぼ3乗に比例するので,大振幅の場合は効くが,小振幅の場合はほとんど効かない.錘と主系の質量比が5%程度なら,減衰比は1%程度となるために,目に見えるほどの制振効果はない.しかし,クレーンなどの揺れのように減衰がほとんどない場合には適用が可能である.
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