研究概要 |
平成19年度においては、まず有限要素法を用いて出力10kW程度の永久磁石アシスト式スイッチトリラクタンス(SR)モータの設計と解析を行った。その結果、一般のSRモータと比較して、最大トルクが40%程度向上することが確かめられた。また,固定子極間に挿入された永久磁石は固定子鉄心で短絡されるため,磁石磁束が回転子に流入することは無く、従ってコギングトルクや無負荷誘起電圧がほとんど生じないことが明らかとなった。これは電気自動車への応用を考えた場合、空転時のロストルクがゼロになることや、さらに高速走行時の誘起電圧の異常上昇が一切生じないことを意味しており、提案するSRモータが他の永久磁石モータには無い非常に優れた特性を有することが明らかになった。 上述の解析・設計に基づき、永久磁石アシスト式SRモータの試作と評価を行った。ただし、研究室で扱える程度のトルクと容量とするため、定格出力は解析時の1/10である1.0kWとした。また比較のため、同一体格の通常のSRモータも試作した。両者の特性を比較した結果、永久磁石アシスト式SRモータの最大トルクは、解析と同様に通常のSRモータよりも約25%程度向上することが実証された。また、モータ効率については、特に重負荷領域での改善が著しく、例えば通常のSRモータでは効率が40%程度になってしまうような、動作領域においては約30%の効率の改善が認められた。これは永久磁石によって動作点が逆バイアスされた結果、動作磁束密度が未飽和領域まで下げられたことが要因と考えられる。以上、本年度の解析ならびに実機による検討により、提案するSRモータが非常に優れた性能を有することが明らかになった。
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