研究課題/領域番号 |
19656073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日高 邦彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90181099)
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研究分担者 |
熊田 亜紀子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20313009)
松岡 成居 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (10114646)
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キーワード | 電気機器工学 / 電子・電気材料 / 電力工学 / 電気・電磁環境 / 光応用計測 |
研究概要 |
本研究の目的は、イオンのカー効果を実験的に検証することにより、気体カー効果による非接触電界計測法の信頼性を高め、かつその適用範囲をポアソン場へ拡張すること、および新しいイオン密度計測手法を提案することである。 まず、気体イオンのカー定数を測定するために、イオン量と電界が独立に制御できるような実験系を構築した。この実験系は3枚の平行平板電極から構成される。最上部の平板電極には多数の針電極が設置され、針電極とメッシュ状中間電極のとの間の電圧を調整することでコロナ放電状態を変化させてイオン量を調整できる。また、メッシュ状中間電極と最下部の接地平板電極間の電圧を調整することで、測定空間の印加電界を調整できるような構造である。 この実験系により形成されるイオン流場に対して、筆者らが開発した高感度複屈折測定装置を適用して、複屈折現象を観測することによりカー定数の評価を行った。高感度複屈折測定装置は、投光部(レーザ、レーザ、偏光子、位相変調器)、多重反射ミラーユニット、受光部(O/E変換器)、信号処理部(ロックインアンプ、オシロスコープ)より構成される。 本年度の研究成果を以下にまとめる。(1)大気圧空気中のイオン流場における気体Kerr効果測定電極装置を作製し、偏波間位相差、電界強度、イオン密度の定量的な測定を行うことに成功した。 (2)大気圧空気中のイオン流場において、電界強度とイオン量のそれぞれの影響を分離して測定することに成功した。これにより本測定系を電界強度おびイオン量測定装置として適用できることを示せた。 (3)大気圧空気中のイオン流場においては、複屈折に対して与える影響を電界強度とイオン量で比較すると、イオン量の影響が支配的であることを示した。特に、大気中のイオン密度が1.7×10^14m^-3を超えた揚合に、大きな偏波間位相差が観測された。
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